花妻(読み)ハナヅマ

デジタル大辞泉の解説

はな‐づま【花妻】

花のように美しい妻。一説に、間もなく結婚する男女が、一定期間まったく会わずに過ごすときの、その触れることのできない妻。
「なでしこがその―にさ百合花ゆりも逢はむと」〈・四一一三〉
鹿がいつも萩に寄り添うところから、萩の花を鹿の妻に見立てていう語。
「我が岡にさ雄鹿来鳴く初萩の―問ひに来鳴くさ雄鹿」〈・一五四一〉
花を親しんでいう語。
「色深く思ひそめてし撫子(なでしこ)のその―は今もあかれず」〈夫木・九〉

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大辞林 第三版の解説

はなづま【花妻】

花のように美しい妻。また、新妻。 「咲く花を出で見るごとになでしこがその-にさ百合花ゆりばなゆりも逢はむと/万葉集 4113
〔鹿が萩を好むところから〕 萩を鹿の妻に見たてていう語。 「初萩の-問ひに来鳴くさ雄鹿/万葉集 1541
花を親しんでいう語。 「色ふかく思ひそめてしなでしこのその-は今もあかれず/夫木 9

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精選版 日本国語大辞典の解説

はな‐つ‐つま【花妻】

〘連語〙 (「つ」は「の」の意の古い格助詞) =はなづま(花妻)
万葉(8C後)一四・三三七〇「足柄の箱根の嶺ろのにこ草の波奈都豆麻(ハナツツマ)なれや紐解かず寝む」

はな‐づま【花妻】

〘名〙
① 花のように美しい妻。一説に、間もなく結婚する男女が、結婚前の一定期間会わずに離れて過ごすという、その期間の、触れることのできない妻。はなつつま。
※万葉(8C後)一八・四一一三「なでしこが 其の波奈豆末(ハナヅマ)に さゆり花 後(ゆり)もあはむと」
は鹿の起き伏しして親しむものであるところから、萩を鹿の妻に見立てた語。
※万葉(8C後)八・一五四一「吾が岡にさ男鹿来鳴く初萩の花嬬(はなづま)問ひに来鳴くさ男鹿」
③ 花を親しんで、擬人化していう語。
※建長八年百首歌合(1256)「色ふかく思ひそめてし撫子のその花づまは今もあかれず〈藤原顕朝〉」
[補注]②の「万葉」例については「初萩の花のような妻」の意と解して①の例とする説もある。

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