改訂新版 世界大百科事典 「芳賀氏」の意味・わかりやすい解説
芳賀氏 (はがうじ)
下野の中世武家。清原氏族を称し,紀姓の益子氏とともに,下野国の豪族宇都宮氏旗下の紀・清両党として知られる。清原高澄の子,高重が下野国に配流され,芳賀郡大内荘に住したのに始まると伝える。芳賀次郎大夫高親は,1189年(文治5)宇都宮朝綱に従って奥州征伐に出陣し,源頼朝よりその功を賞せられた。南北朝の内乱では,宇都宮公綱が南朝に仕えたのに対し,芳賀禅可は公綱の子氏綱を擁して足利尊氏に属して奮戦。その功により氏綱は越後・上野守護に任じられ,禅可は子高貞・高家を守護代として越後に遣わした。しかし1363年(正平18・貞治2)上杉憲顕の越後・上野守護復帰に氏綱とともに反抗し,鎌倉公方足利基氏の討伐をうけて屈服した。戦国時代に入ると,宇都宮氏を補佐して関東の諸勢力や叛臣らと戦った。1590年(天正18)宇都宮国綱は秀吉から本領安堵され,芳賀高武もその領内で所領を与えられたが,97年(慶長2)国綱が領地を没収され,芳賀氏も滅亡。
執筆者:下村 信博
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報