若続郷
わかおみごう
「和名抄」東急本・高山寺本ともに訓を欠くが、河内郡大続郷に倣い、「若麻続」の略として訓じておく。麻続(本来は麻績)とは麻の繊維から糸を作る作業をいい、当郷の名も安蘇郡麻続郷と同様に、麻の加工作業に従事した集団が居住したことに由来する可能性がある。「延喜式」民部省に載せる下野国の年料別貢雑物の麻紙一〇〇張・麻子三斗の生産も、当郷との関連が考えられよう。当郷の位置について、「下野国誌」「日本地理志料」「大日本史」はもと若色郷とよばれた現真岡市東郷付近に比定する。東郷には延喜式内社の大前神社があり、やや北方の京泉には芳賀郡衙跡とされる塔法田遺跡や奈良期の寺院跡の大内廃寺があるなど、この地域の開発が早くから進められたことをうかがわせる。
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
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