苦参紙(読み)くじんし

精選版 日本国語大辞典 「苦参紙」の意味・読み・例文・類語

くじん‐し【苦参紙】

  1. 〘 名詞 〙 語義未詳。クララ繊維を用いた紙か。
    1. [初出の実例]「苦参紙 此紙名、式中何処にも見えず〈略〉是蠧食を防かんか為に、其苦味なるを欲するに出つといふ」(出典:文芸類纂(1878)〈榊原芳野編〉七)

苦参紙の補助注記

延喜式‐一三」に「凡造紙〈略〉長功日択苦参(くらら)一斤五両」とある。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「苦参紙」の意味・わかりやすい解説

苦参紙
くじんし

苦参(クララ)の繊維を用いて漉(す)いた和紙。『延喜式(えんぎしき)』の図書寮(ずしょりょう)式でその抄紙法が規定されているが、この紙名は『正倉院文書』をはじめ他の文献にはまったくみられず、一般に幻の紙といわれている。クララはマメ科に属し、アルカロイドの一種マトリンを含む薬用植物で、その防虫効果から紙に応用されたと思われるが、処理に不便が多く、すぐに廃れた。

[町田誠之]

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