苦参(読み)クララ

デジタル大辞泉 「苦参」の意味・読み・例文・類語

くらら【苦参】

マメ科多年草山野に生え、高さ60~90センチ。葉は長楕円形の小葉からなる羽状複葉初夏、淡黄色の花が総状に集まって開く。根を漢方苦参くじんといい薬用。茎葉の煮汁殺虫剤などにする。 秋》

く‐じん【苦参】

植物クララ別名。また、その根を乾燥させた生薬苦みがあり、健胃剤などにする。

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精選版 日本国語大辞典 「苦参」の意味・読み・例文・類語

くらら【苦参】

  1. 〘 名詞 〙
  2. マメ科の多年草。本州、四国、九州の山野に生える。茎は高さ一メートルぐらいになり、全体に短毛が生える。葉は一〇~一八対の狭い長楕円形で、長さ二~三センチメートルほどの小葉からなる羽状複葉で互生する。六月頃、茎の先端や枝先に花柄を伸ばし長さ二〇センチメートルほどになり、小さな淡黄緑色の蝶形花を多数総(ふさ)状につける。果実はくびれのある円柱形の莢(さや)で長さ七センチメートルぐらいになる。花の暗紅色のものをムラサキクララという。根を乾燥させたものを苦参(くじん)といい、煎じて健胃・利尿・解熱・回虫駆除薬などとする。古くは皮から繊維を取り、紙や織物とした。和名は、根汁を舐(な)めると目がくらむ(くららぐ)ほど苦いということによるという。漢名、苦参。きつねのささげ。くさえんじゅ。《 季語・秋 》 〔新撰字鏡(898‐901頃)〕
    1. [初出の実例]「荒れにける沢田の畦にくららおひて秋待つべくもなきわたり哉」(出典:山家集(12C後)中)
  3. 苦いことのたとえにいう。
    1. [初出の実例]「苦い詞にくららの返答」(出典:浄瑠璃・那須与市西海硯(1734)三)

く‐しん【苦参】

  1. 〘 名詞 〙 植物「くらら(苦参)」の古名。また、その根を乾燥したもの。薬用とする。
    1. [初出の実例]「苦参 クシン」(出典:文明本節用集(室町中))
    2. [その他の文献]〔本草綱目‐草部・苦参・集解〕

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漢方薬・生薬・栄養成分がわかる事典 「苦参」の解説

くじん【苦参】

漢方薬に用いる生薬(しょうやく)一つ。マメ科クララの根を乾燥したもの。解熱殺菌利尿健胃鎮痛などの作用があり、非常に強い苦みがある。自律神経失調症更年期障害不眠症に効く三物黄芩湯(さんもつおうごんとう)湿疹(しっしん)じんましんアトピー性皮膚炎に効く消風散(しょうふうさん)などに含まれる。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「苦参」の意味・わかりやすい解説

苦参
くじん

漢方の生薬の一つ。原植物はマメ科のクララの根で,主成分はアルカロイドのマトリン。苦味健胃薬として用いる。また植物の害虫駆除薬にも用いる。

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動植物名よみかた辞典 普及版 「苦参」の解説

苦参 (クララ・クララノキ)

学名:Sophora flavescens var.angustifolia
植物。マメ科の多年草,園芸植物,薬用植物

出典 日外アソシエーツ「動植物名よみかた辞典 普及版」動植物名よみかた辞典 普及版について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「苦参」の意味・わかりやすい解説

苦参
くじん

クララ

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世界大百科事典(旧版)内の苦参の言及

【クララ】より

…本州,四国,九州,朝鮮,中国,シベリアに分布する。根を乾燥して苦参(くじん)とよび,健胃薬とする。それをかむと目がくらむほど苦いため,眩草(くららぐさ)とよばれ,和名はそれに由来する。…

※「苦参」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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