中国,江蘇省南西部,太湖と長江(揚子江)の間の平地に突出する丘陵群。大茅峰(330m),丫髻山(あけいざん)(410m)などが南北に並び,南は天目山脈につらなる。巳(し)の字のようにくねくねとつらなる山容から句曲山(こうきよくさん),また巳山と呼ばれ,山の北西の県を句容(こうよう)という。古くからの伝承を多くもち,秦の始皇帝が会稽山に登った帰りにここに立ち寄ったという。また漢代に茅盈(ぼうえい)とその2人の弟がここで道術を得て仙人となったので,茅山,三茅山とも呼ばれる。南朝梁の陶弘景はここに隠棲し,梁の武帝より〈山中の宰相〉と尊重された。山中には華陽洞・良常洞などの洞窟が多く,道教の聖地となっている。解放後は観光地になるとともに,植林・茶園造りがすすめられ〈茅麓茶〉は名産品となっている。
執筆者:秋山 元秀
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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