精選版 日本国語大辞典 「茶の十徳」の意味・読み・例文・類語
ちゃ【茶】 の 十徳(じっとく)
- 茶を飲めば一〇種の徳があるということ。一〇の徳目には諸説がある。明恵上人が蘆屋釜(あしやがま)に鋳つけた茶の効能に、散鬱気・覚睡気・養生気・除病気・制礼・表敬・賞味・修身・雅心・行道とあるのに始まるという。
- [初出の実例]「茶の十徳といふはまづ春は午睡をさますによろし、是一、茶烟のかろく颺るは、かすみの衣にまがふ、是二、夏は炎暑を涼しうする徳あり、是三、あるひは汗をながし、漿をなす 口の内を涼しうし、汗をもとむる薬なり、是四五の徳をあらはせり、秋は楼月の興をそふ是六、落磑とて碾落す茶の、茶臼の上にちらちらとみゆるは、落花に似たり、是七、又六の花の興もあり、是八、冬は冰を敲て、よる茶をにる、また一の興なり、是九、第一つれづれをなぐさむるの徳ふかし、是十の徳にあらずや」(出典:仮名草子・よだれかけ(1665)一)