行道(読み)ぎょうどう

精選版 日本国語大辞典「行道」の解説

ぎょう‐どう ギャウダウ【行道】

〘名〙
語。尼が行して経を読みながら仏像や仏殿の周囲をめぐること。また、その儀式
※霊異記(810‐824)下「手の於(うへ)(おきび)を置き、香を焼きて、行し、陀羅尼を読みて」 〔南海寄帰内法伝‐三〕
② 僧尼が経を唱えながら歩くこと。読経(どきょう)しながら道を行くこと。
※続日本紀‐神亀五年(728)八月甲申「皇太子寝病〈〉礼仏転経、一日行道。縁此功徳、欲平復
③ 仏道を修行すること。
※栂尾明恵上人遺訓(1238)「適(たまたま)人身を受けて、幸ひに袈裟を纏ひ、仏法に入て行道すると名付けて」 〔無量寿経‐下〕
④ 人や物が同じところをぐるぐるめぐること。また、そのめぐる道。
※源平盛衰記(14C前)四五「後戸の縁を彼方此方へ行道(ギャウだう)し御座(おはしま)しけるに」

ゆき‐みち【行道】

〘名〙
① 行きの道。行く時に通る道。往路。帰り道に対していう。
冷笑(1909‐10)〈永井荷風〉九「通学の行道(ユキミチ)にも帰道(かへりみち)にも」
② 行く道順。行くての道。順路。
③ 金銭など、費やしたものの行く先。ゆくえ。
※人情本・春色梅児誉美(1832‐33)四「おはらひに出た宝の行衛、知れてはあれど金子の行道(ユキミチ)、主人の判を偽た重罪」

こう‐どう カウダウ【行道】

〘名〙
① 道を行くこと。また、その道。天体運行についてもいう。
※本朝無題(1162‐64頃)九・詣武蔵寺〈藤原周光〉「幽渓松痩枯鱗老。行道苔穿旧癬青」 〔戦国策‐秦策・恵文君〕
② 道を行なうこと。道徳を尊び行なうこと。〔孝経‐開宗明義章〕

ゆく【行】 道(みち)

進んで行く道。通り過ぎて行く道。
万葉(8C後)一三・三三二四「神葬(かむはぶ)り 葬り奉れば 徃道(ゆくみち)の たづきを知らに」

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典「行道」の解説

行道
ぎょうどう

本来は,仏会で本尊や堂塔の周囲を仏を念じて経文を称えたりしながら回る礼拝形式をいい,東大寺二月堂の修二会 (しゅにえ。お水取り) の六時行道などがある。日本では,仏像または信仰の対象となるものを奉じて行列をなして進む「行像」も行道と称する。この種の行道には,菩薩などの仮面 (行道面) をつけたものが練り歩く「来迎会」「練供養」といわれるものがあり,奈良の当麻寺 (たいまでら) ,東京の真寺 (九品仏) ,大阪の大念仏寺などで行われている。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus「行道」の解説

行道 ぎょうどう

1718-1810 江戸時代中期-後期の僧。
享保(きょうほう)3年生まれ。木食(もくじき)観海から木食戒をうけて日本廻国を発願。全国各地の廃寺を復興し,自作の仏像を奉納,真言密教に念仏をとりいれた教えを説いた。仏像は木食仏,微笑仏とよばれ,円空仏とならび称されている。文化7年6月5日死去。93歳。甲斐(かい)(山梨県)出身。俗姓伊藤通称五行菩薩,明満仙人。号は木食。

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百科事典マイペディア「行道」の解説

行道【ぎょうどう】

供養(ねりくよう)とも。元来仏道修行の略,また列をなして進むこと。古来仏の周囲を右回りに巡って供養する儀式。旋匝(せんそう),繞仏(にょうぶつ)とも。また,塔を巡る供養の儀式をもいう。ともに誦経散華(ずきょうさんげ)する。これを行道誦経,行道散華という。行道面をつけて行う場合もある。

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デジタル大辞泉「行道」の解説

ぎょう‐どう〔ギヤウダウ〕【行道】

仏道の修行をすること。
法会で、僧が行列して読経しながら仏像や仏堂の周囲を右回りにめぐること。
法会で、僧が行列して読経しながら道を練り歩くこと。御練おねり。

ゆき‐みち【行(き)道/行き路】

行くときの道。行きの道。往路。
行くべき道。ゆくての道。
費やしたものの行く先。使い道。
「宝の行方知れてはあれど金子きんすの―」〈人・梅児誉美・四〉

こう‐どう〔カウダウ〕【行道】

道を行くこと。また、通り道。特に、天体の運行についていう。

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世界大百科事典 第2版「行道」の解説

ぎょうどう【行道】

(1)仏の周囲を右回りに巡って仏を敬礼供養する作法遶仏(にようぶつ),施遶(せによう)ともいう。インドでは右手を浄,左手不浄とする思想があり,比丘たちは仏に対して右遶三匝(うにようさんそう)する(右回りに3回回る)のが例法となった。中国では左を上位とする考えがあって戒壇を巡るときに左回りすることもあり,日本でも座禅のときに眠けを覚ますための香版(警策)をもって回る役の巡香(じゆんこう)は左回りであるが,そのほかはすべて右回りである。

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普及版 字通「行道」の解説

【行道】こうどう(かうだう)

道路。また、道を行う。陸游〔秋雨中の作〕詩 行、敢て希(ねが)ふ千載の上 會心、聊(いささ)か付す、一の中

字通「行」の項目を見る

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世界大百科事典内の行道の言及

【行道面】より

…インドや中国の仏寺で行われていた行像や行道の影響を受けて,日本の仏寺でも古代から大法要には特定の仮装の者が参加している。その種類や数は法要の形式や時代によって異なるが,この仮装に用いる仮面を総称して行道面という。…

【庭儀】より

…寺院の堂外の儀礼と,堂内の儀礼が密接にかかわりながらとり行われるが,たとえば法要と舞楽が並行して行われる庭儀舞楽法要の場合は,仏教儀式と舞楽が,堂内と堂外の舞台を用いて有機的に構成される。庭儀には行道(ぎようどう)を伴い,堂内に入場する僧侶は2列に並んで〈庭讃〉の声明曲(しようみようきよく)を,また散華行道の場合は《(ばい)》《散花》などの曲を唱誦する。とくに導師読師講師(こうじ)は傘をさしかけられたり,輿(こし)に乗って入場し,僧侶の装束も盛装になるなど,すべてが大がかりに行われる。…

【寺事】より


[寺事と法要]
 寺事の中核となる法要は,何曲かの声明(しようみよう)と,特定の修法(しゆほう)や読経などを組み合わせて構成されている。その組合せ方によって種々の意義を表明しうるわけであり,これに礼拝行道(ぎようどう),呪法(呪師)などの所作を加えて,より意義を鮮明にし,儀礼としてのかたちを整えている。数多くの法要形式の中には,8世紀にすでに完成していたものもあり,現代の制作になる新しい法要形式もある。…

※「行道」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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