草部保(読み)くさかべほ

日本歴史地名大系 「草部保」の解説

草部保
くさかべほ

旧中島郡内の国衙領。現日下部くさかべ町辺り。日下部はその遺称であろう。保内地名として「清須村」がみえ、現稲沢市の東南に隣接する現西春日井郡清洲町にもかかる地域に比定できる。ただし草部郷との地理的な関係は不詳。

文和二年(一三五三)二月一〇日付奥田宗可寄進状案(妙興寺文書)を保名の初見とする。同年七月付の尾張国郷保地頭正税弁済所々注進状案(醍醐寺文書)等によれば、当保は尾張国衙領のうち「一円地」に対して「正税地」と称される所領の一つで、地頭荒尾氏が国衙領の領主醍醐だいご三宝さんぼう院に六〇貫文の正税を弁済する請所を成立させていた。荒尾氏は、京都の竜翔りようしよう寺へも保内の田七反を寄進している(大徳寺文書)ほか、当保内の土地を地元妙興みようこう(現一宮市)および末寺天徳てんとく寺へ売却した(妙興寺文書)が、当保に関する正税徴収等は南北朝期においては保地頭として荒尾氏が行っていた。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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