荷電空間(読み)かでんくうかん(その他表記)isospace

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「荷電空間」の意味・わかりやすい解説

荷電空間
かでんくうかん
isospace

アイソスピンクォークおよびその複合粒子であるハドロンの内部状態を記述する物理量であり,数学的にはスピン角運動量と同じ構造をもつ。そこで,アイソスピンは仮想的な三次元空間でのある回転運動を記述しているとみなし,その抽象的三次元空間を荷電空間という。荷電空間中の回転に対して不変な相互作用は荷電独立であるといわれる。強い相互作用はよい近似で荷電独立であり,すべてのハドロンはそれぞれ確定したアイソスピンをもつ。電磁相互作用は荷電独立ではない。アイソスピン 1/2 の u クォークの質量と -1/2 の d クォークの質量が少し異なるために,強い相互作用でも荷電独立性が少し破れる。この破れと電磁相互作用の効果のため,陽子中性子,荷電π中間子と中性π中間子の質量差が生じると考えられる。

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世界大百科事典(旧版)内の荷電空間の言及

【アイソスピン】より

…量子力学では粒子の状態を指定するのに,その自転の大きさ(スピン)と回転軸の方向が用いられる。これにならって同重体は荷電空間という仮想空間内の回転体であるとし,そのアイソスピンが上を向いた状態が荷電が最も大きく,下を向いたものが最も小さいとする。量子力学によるとスピンをある方向に投影した値は1だけ離れたとびとびの値のみをとる。…

※「荷電空間」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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