菫・菫菜・菫葵(読み)すみれ

精選版 日本国語大辞典 「菫・菫菜・菫葵」の意味・読み・例文・類語

すみれ【菫・菫菜・菫葵】

〘名〙
スミレ科の多年草。各地の山野の日当たりのよい場所に生える。高さ一〇~二〇センチメートル。全体に細毛を散生する。葉は長さ三~五センチメートルの三角状披針形で、先端は円く長柄をもち根もとに束生している。早春、葉間から花柄を伸ばし、先端に長い距のある紫紅色の花を横向きに一個ずつ開く。果実は、長楕円形で三稜があり、三裂して小さな種子を飛散する。和名は「すみいれ」の略で、花の形が墨壺に似ているところからこの名がある。漢名に紫花地丁を当てることがある。また、「菫」の字は、中国で、スミレの一種に菫菫菜とあるところからあてられるが、この「菫」は「芹」の意という。すもうぐさ。すもうとり。すもうとりぐさ。すもうとりばな。すもうばな。すもとりぐさ。かぎとりばな。かけびきばな。ひとばぐさ。すみれぐさ。《季・春》
万葉(8C後)八・一四二四「春の野に須美礼(スミレ)(つ)みにと来しわれそ野をなつかしみ一夜(ひとよ)寝にける」
② スミレ科スミレ属の草本の総称。ツボスミレ・タチツボスミレなど数百種ある。〔生物学語彙(1884)〕
③ 襲(かさね)の色目の一つ。表は紫、裏は薄紫
④ 「すみれいろ(菫色)」の略。
紋所の一つ。①の花や葉を模様としたもの。一つ菫、抱き菫、菫蝶、三つ葉菫などがある。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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