落合鑪跡(読み)おちあいたたらあと

日本歴史地名大系 「落合鑪跡」の解説

落合鑪跡
おちあいたたらあと

[現在地名]布野村上布野

横谷よこたにとの境近く、布野川に中郷なかごう川が流れ込む付近の右岸にあり、江戸後半期から明治三七年(一九〇四)まで存続した鑪製鉄所。一八世紀末から一九世紀初め頃藩営の鑪場として建設されたもので、嘉永三年(一八五〇)の記録(長岡家文書)に「近頃雲石小鉄吸谷・落合両鑪所ヘ御繰取ニ相成リ」とあり、また安政三年(一八五六)にも酒谷さけだに(現島根県邑智郡邑智町)来島きじま(同県飯石郡赤来町)から落合鑪所への小鉄運賃を定めた記録(同文書)があるので、山陰からも小鉄を購入して稼行していたことが知れる。明治四年の廃藩置県後、他の藩営の鑪・鍛冶屋とともに県庁稼となり、同七年一時民営に払下げられたが、同九年官営の広島鉱山として運営され、多くの鑪・鍛冶が中途で廃止されるなかで、双三郡内でただ一ヵ所稼行していた。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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