日本大百科全書(ニッポニカ) 「葛そうめん」の意味・わかりやすい解説
葛そうめん
くずそうめん
葛粉を水でこね、熱湯の中に糸状にひいて落とし固めたもの。そうめんに似ているので、できあがったものの上に葛粉をつけて、葛そうめんという。作り方は、まず3カップの水に杯(さかずき)1杯の葛粉を加え、とろ火にかけてよくかき混ぜると、とろりとして色が変わってくる。ここで火からおろして冷やし、体温ほどになったところで、これをつなぎにして生の葛粉を加えてこねる。固さは手ですくってみたとき糸を引いて落ちる程度がよい。次に柄杓(ひしゃく)の底に指の太さぐらいの穴をあけ、その中にこねた葛を入れる。このとき別の鍋(なべ)に熱湯を入れて火にかけ、沸きたてた上に柄杓をかざして、その中にこね葛を流し込むと葛そうめんができる。その太さは柄杓の高低で異なる。高いところから流し込むと細くなるが、経験を重ねないと調節はむずかしい。鍋の湯が沸いていると麺(めん)は切れないが、温度が低いと切れてしまう。ゆだったら水に入れてもみ洗いする。はるさめの古い形のもので、酢の物、吸い物、鍋物などに使われる。
[多田鉄之助]