柄杓(読み)ひしゃく

日本大百科全書(ニッポニカ)「柄杓」の解説

柄杓
ひしゃく

水など液体をくむ道具。木、タケ金属でつくった筒または椀(わん)状の容器に柄(え)をつけたもの。これをヒシャクとよぶのは、古く水など液体をくむのに、ヒサゴを二つに割って使ったので、ヒサゴの名から訛(てんか)したという。古くはタケのを残して切ったものや、木のこぶをくりぬいたものに柄をつけて使ったが、中世にはヒノキスギの曲物(まげもの)に柄をつけ、近世にはたが締めの(おけ)に柄をつけ(うるし)を塗ったものも行われた。なお、柄の大きさは用途によってさまざまで、酒造その他工業用や農村の施肥用は大形、馬飼用、散水用、台所用は中形で、茶の湯の柄杓は小形である。このように柄杓は、日常生活に必要な水など分配する道具としてたいせつであったが、中空の容器には神霊が宿るという信仰が古くからあったので、柄杓を神社に奉納し、安産・眼病平癒の祈願とすることや、海の亡霊を鎮めるために底を抜いた柄杓を海に投ずることなど、柄杓に関する俗信・習俗が少なくない。

[宮本瑞夫]

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精選版 日本国語大辞典「柄杓」の解説

ひしゃく【柄杓】

〘名〙 (「ひさこ」の変化した語。「柄杓」はあて字)
① 湯、水などをくむための具。竹、木、金属などで作った筒または椀状の器に柄をとりつけたもの。〔文明本節用集(室町中)〕
※説経節・さんせう太夫(与七郎正本)(1640頃)上「五かうにてんもひらくれば、かまとおうこと、をけとひしゃくをまいらする」
遊女、特に下等な娼婦をいう語。
※かた言(1650)三「遊女を、ひしゃく」
③ =ひさご(瓠)(一)①
※土井本周易抄(1477)五「包瓜は侖吾に包瓜なれや、繋(かかって)くらはれずと云、にがいひしゃくぢゃ程に繋て食はれぬぞ、からすうりと云ものぢゃとも云ぞ」

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典「柄杓」の解説

柄杓
ひしゃく

水やなどの液体を汲む道具。昔,ひさごを2つに割って使ったために,それが転訛した呼称という。木やタケ,金属でつくった筒状,椀状の容器に柄をつけたもの。古くはタケの節を残して切ったもの,木の幹のをくりぬいたものが使われ,のちにヒノキ,スギの曲げ物に柄をつけたり,たが締めの桶に柄をつけて漆塗りしたものなどがあった。現在はアルマイトなど金属製の鋺形容器に木の柄をつけたものが多い。

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食器・調理器具がわかる辞典「柄杓」の解説

ひしゃく【柄杓/杓】

水や湯をくみ出すのに用いる器具木製・竹製・金属製などがあり、円筒形や椀形の容器に長い柄がついている。◇ひょうたんなどのをくり抜いて作った容器「(ひさご)」が変化した語。

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デジタル大辞泉「柄杓」の解説

ひしゃく【×杓/×杓】

《「ひさご(瓠)」の音変化。漢字は当て字》湯や水などをくむ道具。竹・木・金属などで作った筒またはわん状の容器に柄をつけたもの。ひさく。
[類語]杓子茶杓しゃもじお玉杓子

ひさく【×杓/×杓】

《「ひさご(瓠)」の音変化》「ひしゃく(柄杓)」に同じ。
「同じ―して、白き御かゆ一をけ」〈宇津保・蔵開上〉

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