日本大百科全書(ニッポニカ) 「はるさめ」の意味・わかりやすい解説
はるさめ
はるさめ / 春雨
デンプンを原料にした透明な麺(めん)状の食品。中国料理の素材で、麺の大小により粉条(フエンテイヤオ)・粉絲(フエンスー)とよぶ。6世紀の『斉民要術(せいみんようじゅつ)』には粉餅(フエンピン)の名で、リョクトウの豆粉を用いた製法が載る。また、同書の豚皮餅(トウンピーピン)(撥餅(ポーピン))は、ぶたかわはるさめ、はねはるさめとよばれ、はるさめと同じ材料を使い、粥(かゆ)状に薄くこねて銅鉢に木杓子(きじゃくし)ですくって移し、大鍋(なべ)の煮立てた湯の中に銅鉢を浮かべ、指で急速に回し、鉢に粥状の豆粉が薄くつくと、それをはがし、湯に入れてつくった薄い皮状のはるさめである。
中国では、おもな原料はリョクトウで、もっとも品質がよい。ほかに、エンドウ、ソラマメなどの豆類、いも類、米などのデンプンを用いたものがある。日本ではジャガイモ、あるいはサツマイモのデンプンを用いたものが多い。
製法は、デンプンを一部加熱してからよくこねたものを、小さい穴を通して熱湯へ糸状に流し込む。これを加熱して麺状になったものを水で冷やし、凍結後乾燥する。凍結を行わないものもある。中国では山東省が名産地で、各地でつくられ、消費量の大きな食品である。街頭ではもどしたはるさめに蜜(みつ)や肉入りのソースをかけて食べる風景がみられる。
主成分はデンプンで、リョクトウを用いたものが、色が白く、弾力があり、煮くずれしにくい。水または湯でもどし、酢の物、スープ、炒(いた)め物、鍋物、あんかけなどに、広く用いられる。