朝日日本歴史人物事典 「葛井親王」の解説
葛井親王
生年:延暦17(798)
平安初期の皇族で官人。桓武天皇の第12子で母は坂上田村麻呂の娘春子。兵部卿,上野(群馬県),常陸(茨城県)の太守,大宰府(太宰府市)の長官を歴任。聡明で,6歳のとき勅により帯剣を許された。弓芸を得意とし,嵯峨天皇が豊楽院で諸親王や群臣を召して射芸を催したとき,戯れに12歳の親王にも弓を射させたところ,すべて的中し,居あわせた外祖父田村麻呂は歓喜して孫の親王を抱き,かつて自分は東夷を攻めて無敵だったが,親王にはかなわない,と語った。承和8(841)年,三品となる。声楽や管弦に巧みで,晩年は酒を好み連夜,酒宴を催したという。
(朧谷寿)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報