蓋・盖(読み)けだし

精選版 日本国語大辞典 「蓋・盖」の意味・読み・例文・類語

けだし【蓋・盖】

〘副〙
① あり得る事態を想定する時の、肯定的な仮定気持を表わす語。ひょっとすると。もしかすると。けだしく。
万葉(8C後)二・一一二「古に恋ふらむ鳥は霍公鳥(ほととぎす)(けだし)や鳴きし吾が思へる如(ごと)
② 判断を下す時の、多分に確信的な推定の気持を表わす語。多分。おそらく。思うに。けだしく。
書紀(720)神代上(兼方本訓)「是の談(ものかたりこと)、蓋(ケタシ)幽深(ふか)き致(むね)(あ)らし」
[語誌](1)この語は「けだしく」と形容詞連用形のような形に語形拡張しても用いられる。
(2)平安時代以降は、ほとんど漢文訓読系の資料にのみ用いられている。

けだし‐く【蓋・盖】

〘副〙 (「く」は副詞語尾。多く「も」を伴って用いる)
※万葉(8C後)二・一九四「そこ故に 慰めかねて 気田敷(ケだしく)も 逢ふやと思ひて」
※万葉(8C後)八・一四六三「吾妹子形見合歓木(ねぶ)は花のみに咲きて盖(けだしく)実にならじかも」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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