朝日日本歴史人物事典 「藤原元方」の解説
藤原元方
生年:仁和4(888)
平安中期の公卿。正三位。参議菅根と藤原氏江の娘の子。若いとき文章得業生,東宮学士を歴任している学者であった。天慶2(939)年,52歳で参議になり,天暦5(951)年大納言に進んだが,その昇進は村上天皇に入れた娘祐姫(更衣)が,天暦4年,第1皇子広平親王を生んだことによるものだろう。しかし藤原師輔の娘安子も同じ天暦4年に第2皇子憲仁親王(のちの冷泉天皇)を生み,すぐに東宮に立てられた。元方の希望は断たれ,3年後に他界。このため元方は怨霊となって,外戚の地位を固めた師輔の身内に祟り,とりわけ冷泉天皇の狂気はそのためという。『栄花物語』『大鏡』の伝えるところである。
(朧谷寿)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報