日本大百科全書(ニッポニカ) 「蘭新線」の意味・わかりやすい解説
蘭新線
らんしんせん / ランシンシエン
中国、蘭州(らんしゅう/ランチョウ)―ウルムチ(新疆(しんきょう/シンチヤン)ウイグル自治区)間の鉄道名称。延長1892キロメートル。隴海(ろうかい)線の終点である蘭州より、古くから西域(せいいき)への交通路(シルク・ロード)であった河西回廊を北西進し、武威(ぶい/ウーウェイ)、張掖(ちょうえき/チャンイエ)、玉門(ぎょくもん/ユイメン)などを経て新疆ウイグル自治区に入り、ハミ、トゥルファンなど天山(てんざん)北路のオアシス都市を通過して自治区政府所在地のウルムチに至る。1952~1957年の第一次五か年計画の重点新線区として1952年に着工、1962年に全通し、1995年に複線化された。その完成は中国の西部開拓鉄道として大きな意義があり、玉門油田やハミ、ウルムチなどの炭田の開発、沿線各都市の工業化は蘭新線による開発効果が大きいと考えることができる。また、中国にとって辺境の地であった新疆ウイグル自治区を中国中心部と結び付けた政治的・軍事的な意義も大きい。なお、1979年にはトゥルファンより分岐し、天山南路沿いにコルラに至る南疆(なんきょう)線(474キロメートル)が開通、その後も延長工事が続けられ、1998年にアクス、1999年にカシュガルまで開通し、南疆線は全線約1450キロメートルとなった。
[青木栄一]