中国、甘粛(かんしゅく)省中部、黒河の東岸にある地級市。1市轄区、山丹(さんたん)など4県、1自治県を管轄する(2016年時点)。常住人口119万9515(2010)。いわゆる河西(かせい)四郡の一つとして、酒泉(しゅせん)、敦煌(とんこう)、および武威(ぶい)郡とともに、紀元前2世紀末ごろ、前漢の武帝によって張掖郡がこの地に設けられて以来、河西回廊の要衝として栄えた。五胡(ごこ)十六国時代には、北涼(ほくりょう)の段業(だんぎょう)(?―401)や沮渠蒙遜(そきょもうそん)(368―433)がこの地に都を置いて後涼(こうりょう)や西涼と争った。7世紀初頭の隋(ずい)の時代に張掖郡は甘州(かんしゅう)と改められた。現在は蘭新線が通り、河西回廊一帯の綿花、穀物の集散地となっている。2011年には張掖甘州空港が開港した。
[關尾史郎・編集部 2017年6月20日]
中国の甘粛省西部の都市。河西回廊地帯中部の要地で,蘭新鉄道(蘭州~ウルムチ)が通過する。漢の武帝のとき置かれた河西四郡の中もっとも早く開けたところで,前110年(元封1)ごろ得(ろくとく)県を中心に張掖郡が設けられた。五胡十六国時代には北涼国の都となり,西魏のとき張掖郡を甘州とし隋になって県名を張掖と改めた。中華民国から県は省に直属し,現在は張掖地区公署の所在地であり,付近の農畜産物の集散地となっている。
執筆者:日比野 丈夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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