蛎殻町(読み)かきがらちょう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「蛎殻町」の意味・わかりやすい解説

蛎殻町
かきがらちょう

東京都中央区北東部の一地区。正しくは日本橋蛎殻町という。江戸初期までは海浜の漁師町で、地名海産物の名によっている。江戸時代はほとんどが武家地。1876年(明治9)米商会所(後の東京米穀取引所)が置かれて以降、大阪の堂島とともに米相場を支配した。町の中央にある水天宮(すいてんぐう)は、壇之浦で滅びた平家の霊を慰めるため筑後(ちくご)(福岡県)久留米(くるめ)に創建されたが、江戸時代、久留米藩主有馬氏の江戸藩邸(港区三田1丁目)に分社した。有馬邸の移転に伴って1872年現在地に移転、一般に開放したものである。商業の盛んな日本橋地区の一部を占め、中小規模の商店が多い。近接の日本橋人形町、日本橋浜町とともに江戸情緒が残っている。

沢田 清]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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