蛾虫坂
がむしざか
温湯の東北にあり、山形と奥山形の境界をなす大坂。天文年間(一五三二―五五)の津軽郡中名字に「峨々岑沢」とある。藩律では津軽四十坂の一つに数え、「上六十歩下四十歩温湯道」とある。坂を越えると中野紅葉山が眼前にみえるので竜田坂ともいわれた(新撰陸奥国誌)。大正一三年(一九二四)浅瀬石川沿いの県道ができ、この道は廃道となった。蛾虫坂の麓には稲荷神社があり、芭蕉塚「行秋や手をひろげたる栗のいが」がある。坂の頂上に天明元年(一七八一)妙経寺住職日雄が建立した七面堂があり(「妙経寺記録」妙経寺蔵)、芭蕉塚「梅が香にのつと日の出る山路哉」がある。
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
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