日本歴史地名大系 「蝦夷闔境輿地全図」の解説
蝦夷闔境輿地全図
えぞこうきようよちぜんず
一一七×九六センチ 木版色刷 藤田良 嘉永七年 北海道大学附属図書館蔵
解説 嘉永六年初冬の識語をもつ刊行蝦夷地図で、蝦夷島・カラフト島・千島列島を極彩色で描いた大地図である。蝦夷島と千島列島はそれまで松前・蝦夷地で流布していた実用蝦夷地図の特徴をもつが、カラフト島は大きさを回復してかなり正確な形になっている。島々の沿岸にはすきまなくびっしりと地名が記入されており、多数の航路線が里程とともに示されている。この地図の特徴の一つは経緯度の表示であるが、それらは必ずしも正確とはいえず、とくに経度は古いヨーロッパの地図を参考にしたらしく、テネリフェ島(カナリア諸島)を本初子午線とする度数を用いている。なおこの地図には江戸の書物問屋播磨屋勝五郎の刊記のある版とない版がある。
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報