改訂新版 世界大百科事典 「蠟石」の意味・わかりやすい解説
蠟石 (ろうせき)
agalmatolite
パイロフィライト(葉蠟石)を主とする蠟感をもつ鉱石。白色,淡緑色,淡青色,淡黄色,淡褐色,淡灰色などの色を示す。酸性の火成岩などの熱水作用により生成されることが多いが,堆積岩として存在する場合もある。純度の高いものはやや透明感があり鈍い光沢を呈し,昔から石筆の原料,印材,彫刻用,飾石などに利用されている。これらには絹雲母(セリサイト)などの混合する場合がある。その他に石英,コランダム,紅柱石,ダイアスポア,ベーム石boehmiteなどを含有するが,黄鉄鉱,赤鉄鉱,ミョウバン石などを混存する場合もある。微粒の石英を含有するものは通常のまたは低級の耐火煉瓦の原料となる。またダイアスポア,ベーム石などの含有により高アルミナ質となる場合は,その量により高級耐火物(るつぼ用など)原料として重要である。やや石英を含有する種は水簸(すいひ)精製を行い製紙用クレーとして利用されたこともある。岡山県三石地方,広島県勝光山地方,長崎県五島列島の福江島などに蠟石鉱床が分布する。
執筆者:湊 秀雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報