蠟石(読み)ろうせき(その他表記)agalmatolite

最新 地学事典 「蠟石」の解説

ろうせき
蠟石

pyrophyllite ,roseki

本来はパイロフィライトを主成分とする緻密・軟質で,ろう感をもった岩石。印材・石筆・彫刻材などに使われていたが,18世紀末の近代製鉄業の発達とともに耐火物原料として,その後は各種工業原料として需要が増え,類似した外観・用途をもつカオリンセリサイトを主成分とする岩石もろう石と呼ばれ利用。構成鉱物はパイロフィライト・カオリン・セリサイトで,石英ダイアスポアコランダム明ばん石・紅柱石・トパーズ・黄鉄鉱などを伴う。主構成鉱物から,パイロフィライト質ろう石・カオリン質ろう石・セリサイト質ろう石など。鉱床は中生代末~新第三紀の流紋岩・デイサイト安山岩・それらの火砕岩類・石英斑岩などが熱水変質作用を受けて形成され,塊状・脈状・パイプ状・層状などの形態。鉱床の中心部にはコランダムやダイアスポアが産出し,周囲には弱い粘土帯・珪化帯などを伴う。日本は世界有数のろう石生産国(2015年の年産量は約4.2万t)。用途は,ガラス繊維・耐火物・農薬陶磁器など。主産地は岡山県三石地区・広島県勝光山地区・長崎県五島・兵庫県神崎地区・韓国莞島(Wando)地区・東萊(Donglae)地区・中国浙江省福建省など。

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改訂新版 世界大百科事典 「蠟石」の意味・わかりやすい解説

蠟石 (ろうせき)
agalmatolite

パイロフィライト(葉蠟石)を主とする蠟感をもつ鉱石。白色,淡緑色,淡青色,淡黄色,淡褐色,淡灰色などの色を示す。酸性火成岩などの熱水作用により生成されることが多いが,堆積岩として存在する場合もある。純度の高いものはやや透明感があり鈍い光沢を呈し,昔から石筆の原料,印材,彫刻用,飾石などに利用されている。これらには絹雲母(セリサイト)などの混合する場合がある。その他に石英,コランダム,紅柱石,ダイアスポア,ベーム石boehmiteなどを含有するが,黄鉄鉱,赤鉄鉱,ミョウバン石などを混存する場合もある。微粒の石英を含有するものは通常のまたは低級の耐火煉瓦の原料となる。またダイアスポア,ベーム石などの含有により高アルミナ質となる場合は,その量により高級耐火物(るつぼ用など)原料として重要である。やや石英を含有する種は水簸(すいひ)精製を行い製紙用クレーとして利用されたこともある。岡山県三石地方,広島県勝光山地方,長崎県五島列島の福江島などに蠟石鉱床が分布する。
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世界大百科事典(旧版)内の蠟石の言及

【耐火煉瓦】より

…したがって,耐火煉瓦工業は,粉粒体の耐火原料を使って一定の形状をもつ煉瓦を造りあげる造形技術で,その基本は原料のもつ必要特性を煉瓦組織として完成させることにある。耐火煉瓦の原料の多くは天然原料で,これには,(1)ケイ石,蠟石,耐火粘土,ケイ線石(シリマナイト),クロム鉄鉱,ジルコン,黒鉛などを採鉱,選別,粉砕し,焼成せずに直接使用するものと,(2)耐火粘土,ボーキサイト,マグネサイト鉱,ドロマイト鉱などのように,あらかじめ焼成し,収縮を除去して,それぞれシャモット,焼ボーキサイト,マグネシアクリンカー,ドロマイトクリンカーとして使用する加工原料とがある。一方,高純度,高性能の原料として,最近,人工合成原料の重要性が増してきている。…

※「蠟石」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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