日本大百科全書(ニッポニカ) 「熱水作用」の意味・わかりやすい解説
熱水作用
ねっすいさよう
地下から上昇してくる熱水によっておこされる各種の造岩・造鉱床作用。マグマが地下で冷却、固結すると、その末期には水を主とした高温の液体が生成し、それが周囲の岩石やすでに固結した母岩に浸透し、いろいろな変化をおこす。なかでも重要なものは二つあり、その一つは鉱物の加水変質である。熱水の浸透した岩石の造岩鉱物は分解、変質し、より低温で安定な含水鉱物になる。たとえば、有色鉱物類は緑泥石に、長石類は白雲母(しろうんも)や緑簾(りょくれん)石、ぶどう石などに変化する。またそれに伴って、石英や方解石を主成分とする細脈がたくさんできる。もう一つの変化は、各種の鉱石鉱物、とくに黄鉄鉱、閃亜鉛(せんあえん)鉱、方鉛鉱、重晶石などの硫化鉱物や硫酸塩鉱物が沈殿し、しばしば濃集して鉱床を形成することである。このようにして生成した鉱床を熱水鉱床という。日本には第三紀中ごろの熱水鉱床が多い。
[橋本光男]