血小板増加症

内科学 第10版 「血小板増加症」の解説

血小板増加症(血液疾患に伴う神経系障害)

(2)血小板増加症(thrombocytosis)
 血小板増加症は骨髄増殖性疾患としての本態性血小板血症と,感染,悪性腫瘍などの基礎疾患に合併する二次性血小板増加症がある.本態性血小板血症は血小板の持続性増加(45万/μL以上)と骨髄中の大型の成熟巨核球が増加する疾患で,約半数でJAK2遺伝子に変異がみられる.神経合併症としては,血小板増加による塞栓症が主体であり,脳梗塞,一過性脳虚血発作,末梢動脈閉塞などの動脈病変と脳静脈血栓症などの静脈性病変がみられる.さらに血小板機能亢進状態のため,片頭痛,視力障害,肢端紅痛症などの小血管病変も起こる.頻度は低いものの,出血性病変もみられ,特に血小板数が150万/μL以上の症例で起こりやすい.神経系では脳内出血が起こるが,二次性に脳静脈血栓症に伴って脳内出血がみられることもあり,治療方針を決定する際には注意を要する.【⇨14-11-2)】
■文献
Miller TD, Farquharson MH: Essential thrombocythaemia and its neurological complications. Pract Neurol, 10: 195-201, 2010.[有村公良]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「血小板増加症」の意味・わかりやすい解説

血小板増加症
けっしょうばんぞうかしょう
thrombocytosis

血液中の血小板が増加する状態で,本態性と二次性とがある。本態性の血小板増加症はまれな疾患で,30歳以上に多く,男女の差はない。症状は出血が中心で,皮下出血斑よりも消化管出血が多い。次いで塞栓症,脾腫,血小板の著増白血球増加貧血または多血症などが生じる。二次性血小板増加症は,出血,脾臓摘出,悪性腫瘍,結核骨折などに併発するもの。そのほか,慢性骨髄性白血病,多血症,骨髄線維症のような骨髄増殖性病変に伴うものもよく知られている。治療には放射性リン 32P や対症的にはアスピリンが有効である。

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