脳内における出血をいい,一般に脳出血とか脳溢血(のういつけつ)といわれるものがこれにあたる。最も多いものは高血圧性脳内出血である。そのほかにも種々の原因で起こりうるが,頻度は低い。突然,頭痛,吐き気,嘔吐などで始まり,意識障害をきたし失禁,痙攣(けいれん)などを伴うことが多い。部位的にみると大脳半球の基底核部,とくに被殻の出血(外側型)が最も多い。病変と反対側の半身麻痺と知覚障害がみられ,共同偏視(左右の眼球が病変側へ向く),失語などをみることもある。外側型出血以外に視床の出血(内側型),小脳出血,橋(きよう)出血などがある。脳コンピューター断層撮影は診断上きわめて有用である。脳内出血は脳梗塞(のうこうそく)と比べて重症例が多く,その予後も不良である。治療は内科的全身管理とリハビリテーションを行うが,近年外科的治療の適応も広がって救命率もあがり,とくに小脳出血では手術により救命率が著しく改善した。
→脳卒中
執筆者:楠 進
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
… 髄液圧は,脳腫瘍,髄膜炎,水頭症などで上昇する。髄液の外見や細胞成分も重要で,脳内出血では血性となるが,乏血性梗塞(こうそく)ではならない。また化膿性髄膜炎では好中球がより増加し,ウイルス性あるいは真菌性髄膜炎ではリンパ球がより増加する。…
※「脳内出血」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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