消化管出血(読み)ショウカカンシュッケツ

世界大百科事典 第2版の解説

しょうかかんしゅっけつ【消化管出血 gastrointestinal hemorrhage】

消化管すなわち食道,胃,小腸(とくに十二指腸)および大腸,さらに膵臓や胆道系の疾患で,消化管内に出血を生じ,血液が口から吐出したり(吐血hematemesis),肛門から排出する(潜出血occult bleedingあるいは下血melena)こと。 消化管出血は多くの消化器疾患においてみられる症状の一つで,出血量の少ない場合には自覚症状もなく見過ごされやすい。しかし,出血が長期にわたって持続する場合には,貧血症状(頭痛,めまい,顔面蒼白など)が起こってくる。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

消化管出血
しょうかかんしゅっけつ
gastrointestinal bleedinggastrointestinal hemorrhage

食道から肛門に至る消化管のいずれかの部位で起きる出血の総称。略称GIB。十二指腸が空腸と結合する十二指腸空腸曲にあり、十二指腸を支える十二指腸提筋(トライツ靭帯(じんたい))を境界として、上部に位置する食道、胃、十二指腸などの部位に生じた出血を上部消化管出血、下部から肛門へ向かう小腸、大腸などの部位に生じた出血を下部消化管出血とよぶ。
 上部消化管出血では吐血がみられ、短時間で真っ赤な鮮血が出る場合と、胃液の酸などで変色し時間が経過してからコーヒー残渣(ざんし)様の黒褐色の血が吐出される場合がある。また、肛門からタール便(黒色便)とともに下血もみられる。胃・十二指腸潰瘍(かいよう)など消化性潰瘍による出血の頻度がもっとも高く、再発することが多い。近年、消化性潰瘍の再発予防にその原因となるピロリ菌除去が有効であることが判明している。ほかに肝硬変などに伴う食道静脈瘤(りゅう)、出血性胃炎、胃癌(がん)などの悪性腫瘍(しゅよう)、アルコール過剰摂取などによる嘔吐(おうと)の反復で食道などに裂傷をきたすマロリー‐ワイス症候群、さらに解熱鎮痛薬の服用・外用なども原因となる。
 下部消化管出血ではおもに肛門から下血がみられ、上部消化管以外の盲腸や上行結腸からの出血による黒色のタール便と、結腸より下の部位、さらに肛門に近いS状結腸や直腸からの出血に多い鮮紅色の鮮血便がみられる。下部消化管出血は、大腸ポリープや大腸癌による出血の頻度がもっとも高いが、炎症性病変を伴うクローン病、潰瘍性大腸炎、血管性虚血性大腸炎、感染性腸炎、大腸憩室のほか、薬剤使用が原因となる薬剤性腸炎などもある。ほかに小腸に潰瘍やびらんによると考えられる出血を認めるが病態不明で出血源がわからず、貧血症状のほかタール便や鮮血便を伴い再発を繰り返す難病もある。[編集部]

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世界大百科事典内の消化管出血の言及

【胃潰瘍】より

…そのほか,上腹部の不快感,重苦しくて張る感じ,胸焼け,吐き気などを伴うこともある。ときには胃潰瘍から出血があり吐血や下血がみられることがある(消化管出血)。吐血の場合,血液が多量に出たとき以外は,血液のヘモグロビンが胃液の酸により塩酸ヘマチンとなり,黒褐色になったりコーヒー残渣様になって嘔吐される。…

※「消化管出血」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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