術後精神病(読み)じゅつごせいしんびょう(その他表記)Postoperative psychosis

六訂版 家庭医学大全科 「術後精神病」の解説

術後精神病
じゅつごせいしんびょう
Postoperative psychosis
(こころの病気)

どんな病気か

 いろいろな手術のあとに、幻覚(げんかく)妄想(もうそう)を中心とする精神病症状が起こることがあります。これを術後精神病といいます。手術は身体的のみならず精神的にも大きな影響を与えるので、精神的に不安定になり、ひどいと精神病症状が起こります。とくに高齢者に多いので注意が必要です。

 手術後に最も多い精神障害は、術後せん(もう)です。これは正確には術後精神病ではありませんが、重要なのでここで特記します。

 せん妄一種の意識障害で、錯覚(さっかく)幻覚(とくに幻視)や妄想(とくに被害妄想)が起こり、興奮したり不穏になるため、医療上大きな問題になります。手術直後に起こり、一過性・動揺性で、数日以内に回復しますが、時にはそれ以上遷延することもあります。回復後、本人はその間のことを覚えていないのが普通です。

治療の方法

 治療にはハロペリドール、リスペリドンなどの抗精神病薬がよく使用されますが、手術前の精神的な対応や環境調整も重要です。夜間せん妄では、睡眠覚醒(すいみんかくせい)リズムの調整も大切です。

小阪 憲司

出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報

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