化学辞典 第2版 「表面張力測定法」の解説
表面張力測定法
ヒョウメンチョウリョクソクテイホウ
measurement of surface tension
液体の表面張力γの測定法にはいろいろの方法があるが,そのうち代表的なものをあげる.
(1)毛管上昇法;半径rの毛管を液中に垂直に立てたとき,液体が管中を上昇する高さをhとすると液柱の重量は
π r 2hρg
である.ここに,ρは液体の密度,gは重力の加速度.この液柱を引き上げて上の重さと釣り合う力は,管壁にそって垂直にはたらく表面張力によるものであって,
2πrγ cos θ
で与えられる.θは接触角で液体が管壁をぬらす場合にはθ = 0と考えられるので
γ = rhρg/2
となるから,r,h,ρを知ればγが求められる.
(2)輪環法;白金製の輪を液面に水平に接触させておき,これを徐々に垂直に引き上げて液面から引き離すのに要する力を水平に張った針金のねじりばかりを用いて測定する.このとき,液膜が環につり上げられたのち切れる.輪環の半径をR,環を引き上げる力をFとすると,液膜は環の内外の両側に生じるから,
F = 4πRγ
の関係がある.デュヌイ(Du Noüy)の表面張力計は,この方法による測定装置である.
(3)滴重法;垂直に保持した毛管から液を徐々に滴下させ,その液滴の重量を測定する.毛管の出口の外径をrとし,落下する液滴の重量をmgとすると,液滴が毛管から離れるときには表面張力によって液滴を支える力
2πrγ
と重量が釣り合うものと考えられるから,
mg = 2πrγ
としてγを求めることができる.
(4)垂直板法(ウィルヘルミー法);重量mg,幅lの長方形のガラス板を液面に接触させると,それを液中に引き込む力
2lγ + mg
を(2)と同様な方法で測定することができる.この方法は表面張力の変化を連続的に測定するのに便利で,単分子膜や吸着膜の研究に用いられる.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報