…規矩術も木割も理論的な分析や精密さはあまり要求されず,わかりやすく,しかも指矩ひとつで仕事ができることが重要であった。規矩術の理論は現代でいえば三角関数の応用だが,サイン,コサインは使わず,指矩の一辺に刻まれた尺,寸の倍の目盛(裏目(うらめ)という)に基づいてタンジェント(直角三角形の底辺と高さの関係)だけを使い,木造建築の寸法決定で特にむずかしい軒反りや垂木の割付けなどを指矩ひとつで解決する(図)。この術を身につければ複雑な軒まわりなども大過なく作ることができ,技術伝承という教育上の効果はもとより,工期短縮,経費節減にも役立つ。…
※「裏目」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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