精選版 日本国語大辞典 「指矩」の意味・読み・例文・類語
さし‐がね【差金・指金】
- 〘 名詞 〙
- ① ( 「指矩」とも ) 鋼または真鍮(しんちゅう)で作った、直角に折れ曲がった形の物差し。大工が木材を工作するのに用いる。曲金(まがりがね)。曲尺(かねじゃく)。〔増字番匠往来(古事類苑・称量一)〕
- ② 操り人形で、人形の腕にしかけた長い棒。人形の腕を動かし、また、その棒につけた麻糸を引いて人形の手首・指を動かす。
- 差金②〈楽屋図会拾遺〉" />差金②〈楽屋図会拾遺〉
- [初出の実例]「差金(サシガネ)、堅木(かたぎ)にて作る、好みによりて黒ぬりに仕たるもあり」(出典:楽屋図会拾遺(1802)下)
- ③ 歌舞伎小道具の一つ。作り物の蝶、小鳥、鬼火などを先端に付けた黒塗りの細い竿。針金で結わえて作り物が弾むようにし、黒衣の後見が差し出して動かすもの。
- ④ ( ②から転じて ) 背後で人を指図して動かすこと。陰で人をあやつること。
- [初出の実例]「さしがねで寐たり起たり転だり」(出典:雑俳・柳多留‐三〇(1804))
- 「夫れも是れも皆んなお牧様のお差曲尺(サシガネ)で」(出典:人情本・春色江戸紫(1864‐68頃)初)
- ⑤ 代金の一部として、または手付金として前もって支払うかね。特に、米穀市場などの信用取引の際に担保として出す金銭。さしきん。
- [初出の実例]「私しめが千辛万苦いたし、だんだん差(サ)し金(ガネ)も致し置きましたゆゑ」(出典:歌舞伎・御国入曾我中村(1825)四立)