褐レン石(読み)かつれんせき

改訂新版 世界大百科事典 「褐レン石」の意味・わかりやすい解説

褐レン(簾)石 (かつれんせき)
allanite

化学組成は(Ca,R)2(Al,Fe,Ti)3Si3O12OH)。ここでR=Ce,Mn,La,Y,Th。希土類元素とトリウムThを含むのが特徴。単斜晶系で,緑レン石族に属する造岩鉱物の一つ。黒色ないし黒褐色のb軸方向に伸びた柱状または板状結晶。モース硬度5~6.5,比重3.4~4.2,へき開は不明確である。褐レン石は副成分鉱物として広く花コウ岩類に,また片麻岩や結晶片岩に含まれていることがある。まれに石灰岩スカルンやペグマタイト中に多量に産する。少量のTh(1~2%)を含むため放射能によって結晶構造が自己破壊(メタミクト化)されていることが多い。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

化学辞典 第2版 「褐レン石」の解説

褐れん石
カツレンセキ
allanite, orthite

(Ca,Ce,Mn)2(Fe2+,Fe3+,Al)3O・OH・Si2O7・SiO4緑れん石一種で,希土類元素放射性元素などを含むことがある.ペグマタイト花こう岩,せん長石,片麻岩中に産出する.単斜晶系.格子定数 a0 = 0.898,b0 = 0.575,c0 = 1.023 nm.β = 115°00′.単位格子中に2個の基本組成を含む.硬度5~6.5.密度3.4~4.2 g cm-3.褐色~黒色.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

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