改訂新版 世界大百科事典 「緑レン石」の意味・わかりやすい解説
緑レン(簾)石 (りょくれんせき)
epidote
広義には化学組成X2Y3Z3(O,OH,F)13(ここでXはCa,Ce3⁺,La3⁺,Y3⁺,Th,Fe2⁺,Mn2⁺,Mn3⁺,YはAl,Fe3⁺,Mn3⁺,Fe2⁺,Mn2⁺,Ti,ZはSi,Be)で表される緑レン石族鉱物の総称。狭義には,ゾイサイト,紅レン石,褐レン石とともに緑レン石族に属する,化学組成Ca2(Al,Fe3⁺)3Si3O12(OH)の鉱物。Fe3⁺が少なくCa2Al3Si3O12(OH)に近い成分のものをクリノゾイサイトclinozoisite,Fe3⁺が多くCa2Al2Fe3⁺Si3O12(OH)に近いものをピスタサイトpistaciteと呼ぶことがある。単斜晶系に属し,形は主として柱状であるが,塊状または粒状集合体として産することも多い。色は黄緑色から深緑色で褐色みや灰色みをおびる。透明または半透明で,ガラス光沢または樹脂状光沢を示す。{001}にへき開がある。モース硬度6~7,比重3.35~3.5。柱面に沿って明瞭な条線があり,形が巻いたすだれに似ているので名づけられたのであろう。また,英名のepidoteは結晶柱の底面の一辺が他の辺より長いことを意味するギリシア語のepidiosisに由来する。比較的低温で生じた変成岩やマグマからの後期晶出物あるいは交代作用や熱水変質をうけた岩石に産する。
執筆者:青木 義和
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報