見越(読み)みこし

精選版 日本国語大辞典 「見越」の意味・読み・例文・類語

み‐こし【見越】

〘名〙
① みこすこと。隔てのものを越して見ること。特に、内部にある樹木などが塀ごしに外から見えること。
俳諧・詞林金玉集(1679)一二「見越なる月のさはりは女松哉〈正友〉」
立花で、心(しん)かくし後方より木を高くあげて、請けの方へなびかせる枝をいう。
浄瑠璃・公平つるぎのりっくゎ(1661‐72頃)初「みこしにはさすまた・つくぼう」
将来を予想すること。先を見通すこと。先のなりゆきをおしはかること。
※大学垂加先生講義(1679)「この所の見こしの合点のゆかぬ儒者は」
歌舞伎・戻橋脊御摂(1813)六立「うぬらを見越しのおれなれど、邪魔だてするが面倒さに、睨み殺してくれべいワ」
※俳諧・鶉衣(1727‐79)後「妖物(ばけもの)の見こしももだ書のヘマムシも蛸も、入道の号あれば」

み‐こ・す【見越】

〘他サ五(四)〙
① 隔ての物を越して向こうを見る。
太平記(14C後)一七「屏の上より見越(コ)せば、是こそ大将の陣と覚へて」
② 先のなりゆきをおしはかる。将来を見とおす。〔和英語林集成再版)(1872)〕
※こゝろ(1914)〈夏目漱石〉上「それを見越(ミコ)した自分の直覚を〈略〉嬉しく思ってゐる」
③ 他にくらべてまさって見える。見まさる。
浮世草子好色一代男(1682)七「吉野の花を見越(コシ)全盛の春にぞありける」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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