合点(読み)ガッテン

デジタル大辞泉 「合点」の意味・読み・例文・類語

がっ‐てん【合点】

[名](スル)
1 同意すること。うなずくこと。承知。がてん。「おっと合点」
「頸くびに力を入れ、しっかり―しつつ」〈宮本・伸子〉
2 理解すること。納得すること。得心。がてん。「一向に合点がいかない」
3 和歌・連歌・俳諧などを批評して、そのよいと思うものの肩につける「〽」「○」「・」などの印。また、その印をつけること。
4 回状などを見終わり了承の意を表すために、自分の名前の肩に印をつけること。
5 考え。心づもり。所存。
「ただ今より真人間になって孝行尽くす―なれども」〈浄・油地獄〉
[類語](1)勿論・元より・当然・もっとも・無論・まさに・当たり前・ご無理ご尤もっとも・言うまでもない・言わずもがな・言を俟またない・論を俟またない・然さもありなん・無理もない・無理からぬ・自然・至当・自明・歴然・歴歴・一目瞭然・瞭然・灼然しゃくぜん・明らか・明白・明明白白・定か・明快・はっきり・明瞭・画然・顕然・まさしく・必至・疑いなく・然るべき・すべからく・言うに及ばず・言えば更なり・言うもおろか・論無し・推して知るべし・隠れもない・紛れもない・理の当然・必然・妥当・自明の理・それもそのはず・ご尤もっとも・尤もっとも至極・尤もっとも千万・宜うべなるかな・むべなるかな・唯唯諾諾・首肯・宜うべなう・賛成・賛同・果たして・果たせるかな・更にも言わず・至極・のみならず・言わずと知れた・違いない・くっきり・諸手もろてを挙げる

が‐てん【合点】

[名](スル)《「がってん」の音変化》承知すること。事情などがわかること。納得。「ひとり合点」
「一向に―仕らず」〈芥川・尾形了斎覚え書〉
[類語]物分かり・聞き分け・わきまえ・わきまえる・分別ふんべつ・分かり・分かる・理解・知る・把握・飲み込み・承知・認識・学ぶ・了知・存知・聞知・了解・自覚・納得・早分かり・早飲み込み・早合点・話せる・得心

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精選版 日本国語大辞典 「合点」の意味・読み・例文・類語

がっ‐てん【合点】

  1. 〘 名詞 〙
  2. ① 和歌、連歌、俳諧などを批評する際に、よしとするものに点をつけること。また、その点。通常は右句頭に鉤点、、判者二人以上のときは左鉤点、º点、・点などを用いる。
    1. [初出の実例]「定家朝臣のもとへ点をこひにやりたりければ、合点して、褒美の詞など書付侍とて」(出典:古今著聞集(1254)五)
  3. ② 人名を書き並べた文書などに鉤型の線で印(しるし)をつけること。とくに回状、廻文(めぐらしぶみ)などを見終わり、承知の意を示すために自分の名前の上につけた鉤型の線。
    1. [初出の実例]「早任二合点一可二計行一」(出典:玉葉‐文治二年(1186)四月六日)
  4. ③ ( ━する ) 相手の言い分などを承知すること。なるほどと納得すること。また、承知してうなずくこと。首肯(しゅこう)。がてん。
    1. [初出の実例]「もっともしかるべきよし、がってん申されけるうへは、子細におよばず」(出典:保元物語(1220頃か)上)
    2. 「五匁づつ二人ながら、おれが所へよこしやれ。がってんだと、飛ぶがごとくに行」(出典:咄本・譚嚢(1777)三人一座)
  5. ④ ( ━する ) 事情をよく知っていること。また、事情を理解すること。がてん。
    1. [初出の実例]「天狗といふものは、めいよ人の心におもふ事を其ままに合点(カッテン)をする物ぞかし」(出典:浮世草子・西鶴諸国はなし(1685)四)
  6. ⑤ そうした心づもりでいること。覚悟していること。がてん。
    1. [初出の実例]「それこそよきがってん。あすは少々御見物しかるべし」(出典:仮名草子・元の木阿彌(1680)上)

が‐てん【合点】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「がってん(合点)」の変化した語 )
  2. ① ( ━する ) 相手の言い分、事情などを理解すること。承知すること。がってん。
    1. [初出の実例]「物のへんずると申す事は、目前にあって、がてんのまいらぬふしぎなことでござるぞ」(出典:虎明本狂言・成上り(室町末‐近世初))
  3. ② 覚悟すること。そうした心づもりでいること。がってん。
    1. [初出の実例]「もしほ草かき文の取やり うき契世間へしるる合点にて」(出典:俳諧・独吟一日千句(1675)第三)
    2. 「ぜひ当年は請け出して、女房に持るるがてん持(もつ)約束と」(出典:浄瑠璃・博多小女郎波枕(1718)上)

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改訂新版 世界大百科事典 「合点」の意味・わかりやすい解説

合点 (がってん)

古文書学上の用語。物事を確認し照合したしるしとして,文書の語や句の横に斜めに引いた線のこと。書状を受け取った人が,急いで返事を書くときには,勘返状といって,その書状の返事をしようとする所に合点を付し(これを勘を付けるともいう),その行間に小さく返事を書く。案文(あんもん)のうちで証拠書類として重要なものは,しかるべき人が正文と対照して,確認したしるしに〈校正了〉というような言葉を入れて,重要な個所に合点を加え,さらに裏に花押をすえる場合がある。これを校正裏封案文といい,正文と同等の効力をもつ。重要な道具や文書の出し入れを記した道具(文書)出納日記などには,合点を付し,その日付を記して出し入れを確認している。算用状や土地台帳など数字に関する文書では,それを確認し,または案文を作成する際,照合のしるしとして合点を付す。これらの場合には朱で合点が行われることもある。特殊なものとしては,合戦手負注文の人名に合点が加えられるが,それは奉行が確認したことを示す。中世の寺院で事務を司どった年預(ねんよ)などは選挙で選ばれるが,選挙人は投票をする人の名前に合点を付し,その数が多い人が当選となる。これを合点状という。《貞丈雑記》には,〈廻状などに点をかくるも合点也〉とみえるが,文殿や使庁の廻文,寺院の請定(しようじよう)や廻請(かいじよう)で了解の意味をあらわすには〈奉(うけたまわる)〉という字を入れる。これらの文書の人名の上に合点が加えられているのは,指定の日時に参着したことを示す。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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