角度ゲージ(読み)かくどゲージ(その他表記)angle gauge

改訂新版 世界大百科事典 「角度ゲージ」の意味・わかりやすい解説

角度ゲージ (かくどゲージ)
angle gauge

工業測定に用いる単一角度の標準器。形状によりヨハンソン式とNPL式とがある。前者はヨハンソンC.E.Johansonによって1918年に作られたもので,約50mm×20mm×1.5mmの焼入鋼製ブロック85個または49個からなる。図aのように2個のブロックを組み合わせ密着させ,ホルダーに入れて使用する。10~350度の角度を1秒,または5秒とびに作ることができる。ゲージ精度は±12秒であるから,組合せの精度は±24秒である。NPL式はイギリス物理工学研究所のトムリンソンG.A.Tomlinsonが1939年考案したもので,89mm×16mmの測定面をもつ12個(1°,3°,9°,27°,41°,1′,3′,9′,27′,3″,9″,27″(または6″,18″,30″))の焼入鋼製ブロックからなる。図bのように,数個の角度ゲージをブロックゲージと同様に密着させて,3秒または6秒とびに81度までの任意の角度を作ることができる。密着の向きを反対にすれば角度が負となるので,少ない数のゲージで多数の角度ができる。ゲージの精度は1~2秒である。角度を作るための密着の方向が角度の精度に影響する。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「角度ゲージ」の意味・わかりやすい解説

角度ゲージ
かくどげーじ

角度測定のための基準となるゲージで、ブロックゲージのように、いくつかのゲージを密着させ、必要な角度をつくりだす。角度ゲージには、ヨハンソンJohansson式とNPL式がある。ヨハンソン式は、49個または85個の板状片(約50×20×1.5ミリメートル)からなり、2個の組合せで10度から350度の角度を1~5秒とびにつくることができる。この方式は、測定面が小さく、多数のゲージが必要となるので、不便である。NPL式は、端面を平坦(へいたん)にラップ加工された、12から15個のくさび状のブロックから構成されている。これらを適当に組み合わせることにより、1秒または3秒とびに0度から90度近くまでの任意の角度を2~3秒の精度でつくりだすことができる。ヨハンソン式と比較すると、測定面が大きく、少数のブロックで広範囲の角度をつくれるので、測定、検査、工作物のセッティングなどに広く使うことができる。

[清水伸二]

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百科事典マイペディア 「角度ゲージ」の意味・わかりやすい解説

角度ゲージ【かくどゲージ】

角度測定用基準片。ブロック85個または49個のヨハンソン式と12個のNPL式がある。どちらもラップ仕上げした測定面をもつ一組の焼入鋼製のブロックからなる。ブロックゲージと同様,幾つかのブロックを組み合わせ密着させて,前者は10°〜350°を1″(または5″)とびに,後者は0°〜81°を6″(または3″)とびにつくることができる。
→関連項目ゲージ

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