化学辞典 第2版 「触媒の選択性」の解説
触媒の選択性
ショクバイノセンタクセイ
selectivity in catalysis
触媒作用のうち,ある特定の経路による反応の速度を増し,特定の生成物を選択的に生成する性質.選択性は,ある反応分子に着目して,その全反応モル数 xR に対する目的反応への消費モル数 xP の比としての選択率
y = xP/xR,
あるいは目的とする反応の速度 v1 とほかの反応の速度 v2 との比である選択率
s = v1/v2
で表される.反応が定常的に進行しているときは
y = s/(1 + s)
が成り立つ.目的とする主反応と副反応の反応次数が等しいとき,sは両反応の速度定数の比となり理論的解析をすすめることができる.選択性は,触媒物質の化学的性質にもとづく反応物の吸着の選択性や立体障害,表面の多孔性からくる拡散過程の影響や反応条件などの要因によって変化する.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報