言出(読み)コトズ

デジタル大辞泉 「言出」の意味・読み・例文・類語

こと・ず〔ことづ〕【言出】

[動ダ下二]《「こといず」の音変化》言い出す。発言する。
「―・でしは誰がことなるか」〈・七七六〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「言出」の意味・読み・例文・類語

いい‐いだ・す いひ‥【言出】

〘他サ四〙
部屋、家、屋敷などの内から外の人に向かって言う。または、取り次ぎに伝えさせる。⇔言い入れる
古今(905‐914)春上・四二・詞書「かの家のあるじ、かくさだかになんやどりはあると、いひいだして侍りければ」
※古今(905‐914)仮名序「心におもふ事を、見るもの、きくものにつけて、いひいだせるなり」
最初に言う。言い始める。言いだす。
※宇津保(970‐999頃)忠こそ「左大臣のいへ、むかしよりよろしからず心きこゆる人なり。そのわたりよりいひいだしたることななり」
[語誌]→「いいいず(言出)」の語誌

いい‐い・ず いひいづ【言出】

〘他ダ下二〙 口に出して言う。言葉に表わす。言いいだす。
伊勢物語(10C前)六三「いかで心なさけあらむ男にあひ得てしがなと思へど、いひいでむもたよりなさに」
※枕(10C終)八二「もしいひ出づることもやと待てど」
[語誌]中古においては、「口に出して言う」意で広く用いられたが、中世にかけて次第に「いひ出(い)だす」にとって代わられていく。

いい‐だし いひ‥【言出】

〘名〙
ほかの人の言う前に言い始めること。初めて言うこと。首唱
西洋道中膝栗毛(1870‐76)〈仮名垣魯文〉九「まづいいだしだから北八てめへ口明をしろ」
② 話や歌の最初の文句冒頭のことば。
狂言記萩大名(1660)「して、今の歌のいひだしは、なんであったぞ」

こと‐い・ず ‥いづ【言出】

〘他ダ下二〙
① ことばに出す。口に出していう。ことず。
源氏(1001‐14頃)宿木「たはやすくこと出づべきことにもあらねば」
楽器の音や音声を出す。
※源氏(1001‐14頃)横笛「想夫恋は、心とさしすぎてこと出で給はんや、憎き事に侍らまし」

いい‐だ・す いひ‥【言出】

〘他サ五(四)〙 言葉に出して言う。特に、他にさきがけて言い始める。
※寛永刊本蒙求抄(1529頃)五「どこからとも不知云出すぞ」
俳諧続猿蓑(1698)上「砂を這ふ蕀の中の絡線(ぎす)の声〈沾圃〉 別を人がいひ出せば泣〈里圃〉」

いい‐いで いひ‥【言出】

〘名〙
① 口に出して言うこと。言い表わすこと。また、その言葉や歌。
② 言いながら外に出て行くこと。
※枕(10C終)六三「昼のほどのおぼつかなからむことなども、いひいでにすべり出でなんは」

こと‐で【言出】

〘名〙 ことばに出すこと。言い出すこと。こといで。
東遊(10C後)二歌「我が夫子(せこ)今朝の古止天(コトデ)は 七絃(ななつを)の 八絃(やつを)の琴を 調べたる如や」

こち‐・ず ‥づ【言出】

〘他ダ下二〙 (「こといづ(言出)」の変化した語) ことばに出して言う。
※万葉(8C後)一四・三三七一「足柄のみ坂畏(かしこ)み曇夜の吾が下延(したばへ)を許知弖(コチデ)つるかも」

こと‐・ず ‥づ【言出】

〘他ダ下二〙 口に出して言う。言いだす。発言する。こといず。
※万葉(8C後)四・七七六「事出(ことで)しは誰が言(こと)なるか小山田の苗代水の中淀にして」

こと‐いで【言出】

〘名〙 口に出していうこと。言い出すこと。ことで。

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