言問ふ(読み)コトトウ

デジタル大辞泉 「言問ふ」の意味・読み・例文・類語

こと‐と・う〔‐とふ〕【言問ふ/事問ふ】

[動ハ四]
物を言う。口をきく。
「―・はぬ木すら春咲き秋づけばもみぢ散らくは常をなみこそ」〈・四一六一〉
言葉をかける。親しく言い交わす。
み空行く雲にもがもな今日行きていもに―・ひ明日帰り来む」〈・三五一〇〉
問いかける。尋ねる。
「いかでなほ網代あじろ氷魚ひをに―・はむ何によりてか我をとはぬと」〈大和・八九〉
おとずれる。訪問する。
「身に添ふ影よりほかに―・ふ人もなきを」〈狭衣・三〉

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精選版 日本国語大辞典 「言問ふ」の意味・読み・例文・類語

こと‐と・う‥とふ【言問・事問】

  1. 〘 自動詞 ハ行四段活用 〙
  2. ものをいう。口をきく。
    1. [初出の実例]「許等騰波(コトトハ)ぬ木にもありともわが背子が手馴(たな)れのみ琴土に置かめやも」(出典万葉集(8C後)五・八一二)
  3. 話をする。ことばをかける。また、愛のことばをかわす。
    1. [初出の実例]「夕さればもの思ひまさる見し人の言問(こととふ)姿面影にして」(出典:万葉集(8C後)四・六〇二)
  4. たずねる。質問する。
    1. [初出の実例]「名にし負はばいざ事とはむ都鳥わが思ふ人はありやなしやと」(出典:伊勢物語(10C前)九)
  5. おとずれる。訪問する。やってくる。
    1. [初出の実例]「年をへて花のたよりに事とはばいとどあだなる名をや立ちなん〈兼覧王〉」(出典:後撰和歌集(951‐953頃)春上・七八)
    2. 「妻子従類の外は事問(ことトフ)人も無りけり」(出典:太平記(14C後)一一)

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