都鳥(読み)みやこどり

精選版 日本国語大辞典「都鳥」の解説

みやこ‐どり【都鳥】

〘名〙
ミヤコドリ科の大形の鳥。全長四〇センチメートルを超える。頭部とが黒く、腹部が白い。くちばしは朱色、足は紅色で目立つ。かつては旅鳥または冬鳥としてふつうに見られたが、近年は非常に少ない。
※万葉(8C後)二〇・四四六二「船競ふ堀江の川の水際に来ゐつつ鳴くは美夜故杼里(ミヤコドリ)かも」
② 百合鴎(ゆりかもめ)の雅称。「隅田川の都鳥」として有名で、古くから詩歌や物語に現われる。《季・冬》
※伊勢物語(10C前)九「白き鳥の嘴と脚と赤き、鴫の大きさなる、水のうへに遊びつつ魚をくふ〈略〉、これなん宮こどりといふをききて、名にし負はばいざ事とはむ宮こ鳥わが思ふ人はありやなしやと」
③ ユキスズメガイ科の小形の巻き貝。房総半島以南に分布し、干潮線付近の石に付着する。殻は低い笠形で、長径約一二ミリメートル。表面に細い放射肋があり、淡褐色または黒褐色を帯びる。
④ (②の「伊勢物語」の歌から) 都の人をいう。
※源氏(1001‐14頃)手習「みめも心さまもむかしみし宮ことりににたるはなし」
⑤ 江戸時代の玩具。へぎで鳥の形を作り棒の先から糸でさげ振りまわして遊ぶ。
※絵本家賀御伽(1752)「業平の哥と違ふてわやくいふ子どものなきのやむみやこどり」
⑥ 江戸時代、浅草駒形町の内田屋甚右衛門で造した銘酒。
※雑俳・柳多留‐一一五(1831)「都鳥呑ば足まで赤くなり」
⑦ 江戸時代、江戸向島の秋葉社の裏門通りにあった松花園で売っていた干菓子の名。
※人情本・仮名文章娘節用(1831‐34)三「都鳥といふお菓子で、〈略〉向島の名物だから食べて御覧」
[語誌]①のミヤコドリ科ミヤコドリと②のユリカモメとは、冬鳥で、水辺に棲み、くちばしとあしが赤いという点で共通するが、体色、体形、食物等は異なる。②の挙例「伊勢物語」の描く体色はユリカモメに照応し、「八雲御抄‐三」の「城鳥 すみだ川ならでも、ただ京近き河にも有。白とりのはしあかき也」という記述もそう解していると見られる。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉「都鳥」の解説

みやこ‐どり【都鳥】

チドリ目ミヤコドリ科の鳥。全長約45センチ。頭と背が黒色、腹が白く、足とくちばしが赤い。日本では迷鳥とされるが飛来記録は少なくなく、春秋や冬に海岸でみられ、二枚貝をこじあけて食べる。みやこしぎ。
ユリカモメ別名。古くから歌や物語に現れる。 冬》くちあかきあはれまづ見よ―/万太郎
ミヤコドリガイの別名。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

動植物名よみかた辞典 普及版「都鳥」の解説

都鳥 (ミヤコドリ)

学名Haematopus ostralegus
動物。ミヤコドリ科の鳥

出典 日外アソシエーツ「動植物名よみかた辞典 普及版」動植物名よみかた辞典 普及版について 情報

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