記録演劇(読み)きろくえんげき(その他表記)dokumentarisches Theater; documentary theatre

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「記録演劇」の意味・わかりやすい解説

記録演劇
きろくえんげき
dokumentarisches Theater; documentary theatre

1960年代,ドイツに始まった演劇。実際に起こった事件を素材とする点に歴史劇や政治劇との類似がみられるが,記録演劇では社会的,政治的事件の諸事実を観客に提示し,観客みずからの歴史的判断を求めることを意図している。ナチスのユダヤ人虐殺に際してのローマ教皇の態度を告発した R.ホーホフートの『神の代理人』 (1963) ,原爆と科学者の良心の問題を描いた H.キップハルト作『ロバート・オッペンハイマー事件』 (1964) ,アウシュウィッツの虐殺を扱った P.ワイス作『追究』 (1965) など,いずれも E.ピスカートルの演出によってベルリンで初演された記録演劇の代表的作品である。アメリカでも,ケネディ大統領の暗殺を扱った M.ヘースティングズの『リー・ハーベイ・オズワルド』 (1966) ,徴兵事務所を襲った事件の被告である D.ベリガン神父がみずから書いた『ケイトンズビルの9人の裁判』 (1971) などは,記録演劇への試みであるといえる。

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改訂新版 世界大百科事典 「記録演劇」の意味・わかりやすい解説

記録演劇 (きろくえんげき)

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世界大百科事典(旧版)内の記録演劇の言及

【ドキュメンタリー劇】より

…1920年代にドイツで発展した演出方法とそれによるドラマの総称。〈記録演劇〉ともいう。演出家ピスカートルがパケAlfons Paquet(1881‐1944)の《旗》(1924),《津波》(1926)などの演出にあたって映写機などドキュメンタル機器を用いたのがはじまりで,事実性の強調に写真や映画が利用された。…

※「記録演劇」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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