神の代理人(読み)カミノダイリニン(その他表記)Der Stellvertreter

デジタル大辞泉 「神の代理人」の意味・読み・例文・類語

かみのだいりにん【神の代理人】

原題、〈ドイツDer Stellvertreter》ドイツの劇作家ホーホフートによる戯曲。5幕11場の大作で、1963年にベルリン初演ナチスのユダヤ人虐殺を黙認したローマ教皇ピウス12世の責任を追及する作品で、当時のキリスト教界に衝撃を与えた。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「神の代理人」の意味・わかりやすい解説

神の代理人
かみのだいりにん
Der Stellvertreter

ドイツの戯曲。5幕 11場。 R.ホーホフート作。アウシュウィッツにおけるナチスのユダヤ人大量虐殺を題材とした,無韻詩による叙事的な戯曲で,完全上演には5~6時間を要する大作。 1963年2月 20日,ベルリンで E.ピスカートルの演出によって初演。ナチスによるユダヤ人虐殺を知りながら,神の代理人である教皇がそれを黙殺した事実を追及した作品であるため,世界各国で大きな反響を呼び,特にカトリック教会から反発を受けた。しかし単なる教皇個人への批判ではなく,理念と現実,個人と組織,宗教と政治の相克渦中にある現代自体への告発であり,現代ドイツの代表的作品といえる。ハウプトマン奨励賞を受賞。

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世界大百科事典(旧版)内の神の代理人の言及

【ドキュメンタリー劇】より

…そのためこの名称自体はかえって忘れられたが,1960年代にあらためて脚光を浴びた。きっかけはピスカートルの演出によるホーホフートの《神の代理人》である。作品の内容が歴史的資料,証言などドキュメントによって事実性を裏づけられている点がこの場合の名称の由来である。…

【ホーホフート】より

…ヘッセン州の小都市エシュウェーゲ生れ。1963年に刊行と同時にベルリンでE.ピスカートルの演出で上演された処女作《神の代理人》は,全キリスト教世界にかつて例をみない衝撃を与え,無名だった作者の名を人びとの脳裏にきざみつけた。ナチスのユダヤ人虐殺に教皇ピウス12世が沈黙を続けたのは宗教的に許されることであったか,その態度は政治的判断としても誤ってはいなかったかと,記録資料を駆使して,いわば世界最高の宗教的権威の戦時中の態度に重大な疑問を投げかけたからである。…

※「神の代理人」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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