診療の内容と順番

内科学 第10版の解説

診療の内容と順番(患者へのアプローチの基本)

 通常の診療は,おおむね表1-2-1の順で進める.初心者は,医療面接や身体診察,あるいは基本的検査を軽視しがちである.診療の各項目はある程度重なりながら進行する.たとえば医療面接は身体診察の途中や検査の後にも行われる.救急外来など緊急性のある状況では,すべての項目を同時に行うことが多い.
(1)医療面接と身体診療
 後述するように,医療面接で特定の病態や疾患の可能性(本節では「鑑別診断」とよぶ)を想定できれば,それを検証することを目的に身体診察を行う.それらの所見をもとにさらに鑑別診断を検討しながら,その鑑別に役立つ検査を行う.
(2)検査
 検査は,表1-2-1にあるように「基本的検査」と「特殊検査」に区別して行う.「基本的検査」の例としては,日本臨床検査医学会が提唱している「日常初期診療において,迅速に結果が得られ,いつでも,どこでも,どのような初診患者に対しても容易に適用できる経済的な最小限度の検査の組み合わせ」が参考になる.同学会のガイドラインに示されている基本的検査の内容を表1-2-2に示す.
(3)治療
 治療は,病態や疾患が判明してから開始するのが理想であるが,診断に時間がかかる場合は未確定の段階で治療を行うことも少なくない.疼痛や発熱などによる苦痛をやわらげる目的で行うのが「対症療法」である.病態や疾患が判明しない段階で治療を開始する場合は,その治療が病態や診断に及ぼす影響を十分に考慮する.たとえば,原因不明の発熱に対しては,非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)を使用しつつ,炎症反応などほかの指標を観察する.抗菌薬やステロイド剤の使用は診断の遅れや病態の悪化を招くことがあるため,不用意に行ってはならない.[大滝純司]
■文献
Bowen JL: Educational strategies to promote clinical diagnostic reasoning. NEJM, 355: 2217-2225, 2006.
Cole SA, Bird J 著,飯島克巳,佐々木将人訳:メディカルインタビュー−三つの機能モデルによるアプローチ 第2版,メディカル・サイエンス・インターナショナル,東京,2003.
中川米造:過誤可能性.医学の不確実性,pp30-31, 日本評論社,東京,1996.

出典 内科学 第10版内科学 第10版について 情報

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