誘拐婚(読み)ゆうかいこん

知恵蔵mini 「誘拐婚」の解説

誘拐婚

中央アジアキルギスなどで行われている、男性が女性を誘拐して結婚を迫る風習。「花嫁誘拐」とも呼ばれる。誘拐された女性は監禁され、男性の親戚から結婚に合意するよう説得される。一度でも男性の家に足を踏み入れた女性は純潔ではないと見なされ、一族の恥とされることから、最終的に女性が結婚を受け入れるケースが多い。かつて親が決めた相手との見合い結婚が主流だったキルギスでは、誘拐婚は主に親から結婚を反対された恋人同士が結婚に踏み切るための手段として用いられてきた。その後、社会が変化して自由意志による恋愛結婚が増えると共に、この風習を悪用した暴力的な誘拐婚が増加したため、同国では女性の合意のない誘拐婚は違法とされるに至った。しかし、現在も悪質な誘拐婚が横行しており、国外でも人権問題として報じられている。

(2015-5-20)

出典 朝日新聞出版知恵蔵miniについて 情報