誰袖(読み)たがそで

精選版 日本国語大辞典 「誰袖」の意味・読み・例文・類語

た‐が‐そで【誰袖】

〘名〙
① (「古今‐春上」の「色よりも香こそあはれと思ほゆれ誰が袖ふれし宿の梅ぞも」の歌から) 匂袋の名。衣服の袖の形に作った袋二つを紐でつなぎ、袂落(たもとおと)しのようにして持ったもの。
狂歌卜養狂歌集(1681頃)「のこりけるかうくはといへば、きゃら・たか袖・花の露・にほひふくろ」
② 細長い楊枝さし。
歌舞伎絵本合法衢(1810)三幕「お楊枝入れは誰(タ)が袖(ソデ)
桃山時代から江戸時代にかけて流行した、さまざまな豪華な婦人の衣装を衣桁(いこう)にかけた図。装飾的な屏風絵などに用いた。
随筆・用捨箱(1841)中「古紋所帳、元祿年間、百廿一番たがそで」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の誰袖の言及

【匂袋】より

…袋物としても燧袋(ひうちぶくろ)とともに長い歴史を持ち,正倉院御物に小香袋が7口現存している。江戸時代になると,匂袋は一般化し,浮世袋,花袋,誰袖(たがそで)などの名で親しまれ,蚊帳に掛けたり,花街ではのれんにつける習いがあったが,しだいに懐中して使う形に変化した。香料はおもに丁字(ちようじ),麝香(じやこう),竜脳(りゆうのう)などが使われ,いろいろな調合法があった。…

※「誰袖」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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