谷豊(読み)タニ ユタカ

20世紀日本人名事典 「谷豊」の解説

谷 豊
タニ ユタカ

昭和期の諜報員 “ハリマオ”の異名を馳せたマレー義賊



生年
明治44(1911)年11月6日

没年
昭和17(1942)年3月17日

出生地
福岡県福岡市

経歴
1歳の時両親と共にマレー半島トレガンヌに移住。昭和7年、8歳の妹を暴徒に惨殺され、翌年一家は帰国。10年に“敵を討つ”と単身マレーに戻り、盗賊団に身を投じ、“快傑ハリマオ(マレー語で虎の意味)”の異名で恐れられる首領となったといわれる。17年疫病に冒されて死後、日本新聞が、日本軍マレー作戦をゲリラ支援した英雄ともてはやしたことから、広く一般にも知られるようになる。実態は日本軍の戦意高揚のための宣伝であったが、映画(「マライの虎」)、浪曲、レコード化されるなど“大東亜の英雄”として偶像化されるに到った。

出典 日外アソシエーツ「20世紀日本人名事典」(2004年刊)20世紀日本人名事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「谷豊」の解説

谷豊 たに-ゆたか

1911-1942 昭和時代前期の軍事諜報員。
明治44年11月6日生まれ。虐殺された妹の復讐のためマレーで盗賊団にはいり,「ハリマオ」(マレー語で虎(とら)の意)とよばれる首領となる。太平洋戦争初期,日本軍の諜報組織の一員としてイギリス軍に対しゲリラ活動を展開。昭和17年3月17日マラリアで死去するが,軍当局により英雄として宣伝された。32歳。福岡県出身。

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android