精選版 日本国語大辞典 「豊倹」の意味・読み・例文・類語
ほう‐けん【豊倹】
- 〘 名詞 〙
- ① 豊かなこととつつましやかなこと。また、豊かなことと不足していること。
- [初出の実例]「毎年遣下二巡察使一。検中校国内豊倹得失上」(出典:続日本紀‐和銅五年(712)五月一七日)
- 「又古書に礼は豊倹にしたがふ」(出典:十善法語(1775)二)
- [その他の文献]〔晁沖之‐謝富察見過詩〕
- ② ( 「豊」は豊饒、「倹」は倹約の意 ) 仏語。迷悟、凡聖など相対立するもののこと。
- [初出の実例]「仏道もとより豊検より跳出せるゆゑに」(出典:正法眼蔵(1231‐53)現成公案)
- ③ ( 「豊」は放行、「倹」は把住の意 ) 仏語。禅林で、師が修行者を導くにあたって用いる方法で、修行者の妄見を奪い去って、誤った考えを抱く余地をなくし(把住)、そのうえで、束縛することなく修行者の自由にまかせる(放行)こと。