資本節制(読み)しほんせっせい

改訂新版 世界大百科事典 「資本節制」の意味・わかりやすい解説

資本節制 (しほんせっせい)

中国において孫文が三民主義民生主義の中で〈地権平均〉と並べて掲げた主張。中国語は節制資本。大資本家が企業の利益を独占するのを防ぐための経済政策で,地権平均の政策よりもずっと遅れて形成された。辛亥革命後の1912年,鉄道その他独占的性質を持つ事業の国有化を主張して資本節制の原型を明確化した孫文は,22年1月〈軍人の精神教育〉と題する講演で,経済的不平等の解決策として土地と資本の問題を挙げ,資本問題については工場・鉱山・鉄道を少数の資本家に操縦されないよう国有化すべしと説いた。さらに24年1月,中国国民党第1回全国代表大会宣言では,〈およそ本国人および外国人の企業で独占的性質を有したり,規模が大き過ぎて私人の力で経営できないもの,たとえば銀行・鉄道・航路などは,国家が経営・管理することにし,私有資本制度が国民の生活を操縦しないようにする〉ことが資本節制の要旨であると規定している。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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