改訂新版 世界大百科事典 「赤旗法」の意味・わかりやすい解説
赤旗法 (あかはたほう)
Red Flag Act
1865年にイギリスで制定された自動車の交通規制法令。蒸気自動車が乗合バスとして発達したイギリスでは,蒸気バスに旅客をとられた馬車運送業者の議会への圧力や煤煙や騒音による街道住民の反対運動によって,〈自動車は郊外で時速4マイル(6.4km/h)以下,市街では時速2マイル(3.2km/h)の速度制限とし,しかも自動車が走る前方を赤旗を持った者が先導し,危険物の接近を知らせなければならない〉という,いわゆる赤旗法が施行された。正式にはLocomotive Actという。これによってスピードをうばわれた蒸気自動車は一気に衰退し,イギリスにおける自動車の発達は大きく遅れることになった。96年赤旗法は廃止され,これを記念して,同年ロンドン~ブライトン間の祝賀ラリーが開催された。今日,クラシックカーラリーとして有名なロンドン・ブライトンベテランカーランの前身となったものである。
執筆者:小口 泰平
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報